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2010年10月22日金曜日

KMD博士論文プロポーザルの書き方指南

  • Thu, Oct 21

  • 15:30  Janの博士論文指導終了。プロポーザルを書く。コンピュータを扱っているのだが、論文は人文系で通用するスタイルで書いてほしい。お手本はDigital Groundなどを書いているMalcolm McCulloughだ。Janはプロポーザル指導二人目。まず大切なことは論文スタイル。
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  • 15:51  エンジニアや社会科学者などはAPAとかMLAというスタイルを使う。現実に投稿する雑誌の要求するスタイルとは別に、博士論文ではThe Chicago Manual of Styleを使いこなして書くべきである。ハーバード大学の説明は下記。 http://bit.ly/doP6dg
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  • 15:53  学問は様々な人々の知識の引用の連鎖の中で時間をかけて自分のオリジナリティを出す。その連鎖のなかから知性が醸し出されるような引用をするためには、いまのところシカゴスタイルがベストだ。ハーバード大学のサイトからは手引きをPDFでダウンロードできる。「形式」に圧倒されるだろう。
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  • 15:55  だが、この形式があるからこそ様々な研究や事例や思想を参考にしながら自分の考えを展開できる。引用の連鎖こそが知性の構造なのだ。意外な知識と知識がつながっていく。ここに学問の価値がある。文献検索もここが基本になる。知識の海に分け入っていく方法なのだ。
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  • 15:57  プロポーザルを書くにあたり、博士論文執筆に要求される形式の中に自分の思考を埋め込む練習をする。初めて出てくる概念をどう説明するか、研究者や本や論文をどのように関連させながら自分の論理を組み立てていくか。知識の連鎖から生み出されるオリジナリティが学問の本質であるから引用が大切。
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  • 15:59  きちんとした引用をすれば学問的な功績であり、引用がないと学問で一番行ってはいけない剽窃になる。自分の主張には常に参照がある。参照は先行研究の時もあれば、自分がみつけた史料のこともある。あるいは実験データだ。ここをきちんと整える練習をしていると段々と高度な知性が身についてくる。
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  • 16:01  大学院教育や博士課程の意味を経済的な視点から議論する人たちがいる。就職口もないのに高度な教育をしても意味がないという主張だ。だが大学で教えるということの意味が戦後大学が増えて変わった。大量の大学教師が必要になったのだ。その教師達が何をしたか?高等教育を行っていたのだ。
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  • 16:03  社会で活躍している人が大学で教えるようになると、「なぜいまの大学生はこんなに出来ないのだ」と批判する。やる気から知識から技能まで「最近の大学生はだめだ」と言う。多分自分の大学時代を振り返っているのだろう。だが大学の教師を長年やっていると、大学生が出来なくても驚かない
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  • 16:06  字が読めなくったって割り算ができなくったって驚かない。こちらが教えれば済むことだ。そして、不思議なことに大学教育のなかで、学生はそれなりになる。かつては5%が大学進学し、いまは50%が大学になるようになるといわれて、大学生も大衆化したといわれるが、そんなことはない。
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  • 16:07  戦後の大学教育はまちがいなく日本人の知性の底上げを行ってきた。いま世界中で高等教育の再編が言われているが、それは逆に今まで果たしてきたような役割をこれからも果たしていくためには今のままでは駄目だ、ということになる。それは確かにそうだと思う。で話はその上の教育。
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  • 16:10  大学に就職の口がなくったって博士号をとることに意味がある。理科系はともかく人文系はそもそも就職は普通にはなかった。だが、あるレベル以上の知性を身に付けるとまったく人生の意味が変わる。なんというか自由になるのだ。学問は人間を自由にする。この解放の瞬間がPhD論文が書けたときだ。
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  • 16:11  まあいろんな方法で知識を獲得して自由になることが出来る。だがPh.Dのメカニズムはそれをより効率化というか明文化している。この瞬間を体験出来るようなPhD論文執筆のプログラムを作りたいとずっと思ってきた。KMDではその仕組みがある。そしてその第1関門がプロポーザルの執筆である。
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  • 16:13  こまかなスタイルや引用の方法、名前や書名の提示の仕方といった細部に実は知性が宿っている。そのあたりは書いても書ききれない暗黙知なのだが、そこに到達していない文章をみると直ぐ分かる。添削を通してしか伝えられない所でもあるのだ。文章が論理的に進み、過不足なく概念が説明される感じだ。
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  • 16:15  というわけで、細部に赤ペンをいれて戻した。そして最後に結論がないけど、と質問。Janはプロポーザルで結論がいるのですか、と聞く。そうここがポイントなのだ。調査や実験をして書くのが博士論文で、まだそれが済んでいないので書くことが出来ない、と普通は思う。だが学問はそうではない。
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  • 16:16  知識と知識が連鎖する。調査をして多くの知識が蓄積される。それを整理しなくてはいけない。静的な整理ではなく、結論に向かっていくようなダイナミックな整理が必要だ。そのためには力強くて明晰な論理枠を構築する必要がある。僕はここを構成力と呼んでいる。プロポーザルでそれを示す。
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  •  Thu, Oct 23
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  • 09:30  博 士論文プロポーザルの話の続き。博士論文プロポーザルは二つの視点から構成を考えなくてはいけない。ここが難しい。一つはプロポーザルが果たす機能の視点 である。次の9つの機能が必要だと言われている。以下Proposals that work(Sage)を参考にしている。
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  • 09:33  機 能1:研究が分かりやすく紹介されているか。研究のテーマについて常識的に「いつ」「何処で」「何を」「誰が」「どうして」「どうなった」、という記述が 必要である。これは意外と難しい。一方ここを自分で決めて良い、というのが学問の自由である。ここができないと規制の枠から自由になれない。
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  • 09:34  機 能2:研究の目的を明確にする。自分は何故この研究をする必要があるのか。これは論文の読み手へのメッセージとなる。ここは非常に難しい。学術論文は主観 的な気持ちを込めてはいけないと思っているとかけない。ここは主観的な部分である。研究に対する自分のパッションを示すところ。ここを固める。
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  • 09:37  機 能3a rationaleを明確にする。いろいろなところで書いていることだが、日本の中で育ち、閉ざされた環境で学問をしていると、 a rationaleが分からなくなる。これは概念枠組み、つまり問題にどのような方法で取り組むかを宣言することである。これも自分で決めて良い
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  • 09:44  機 能3(続き)自分で決めて良いが21世紀の学問をするときには関数概念枠組みでないとちょっと素朴すぎてかっこわるいというか役に立たない。たとえば直感 的に理解することが総合的であり、具体的に理解することが分析的だという議論だと、物事を構成する機能を説明できない。
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  • 09:49  機 能3:難しく言うと関係と存在の認識論的関係がrationaleであり、やさしく言うと経験や観察したことの多様さから何らかの結論を生成する仕組みを 概念枠組みとして想定する、ということである。(あんまりやさしくないか)。概念枠組みすなわちrationaleを明示することが大切。
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  • 09:50  機能3:これはKMDの多くの学生にとっては難しくない。人間が使う何らかのモノやサービスを作っているわけであり、そのコンセプトこそが概念枠組み(conceptual framework)なのだ。何をつくるか、それは何かを示すことが出来れば良いのである。
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  • 10:02  機 能4:質問か仮説を示す。論文を書こうとすると、いきなり調査用質問や仮説を示すプロポーザルや発表が多い。何に対する質問であり仮説であるのかが非常に 大切だ。当然自分がしめした概念枠組みに対しての質問であり仮説だ。仮説の方が「論文」らしくおもえるのか、むちゃくちゃな仮説を作る。
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  • 10:04  機能4:実際はどちらでも言い。これからまだ調査が必要であれば説くべき質問が列挙されていればいいし、基礎的な調査が済んでいてある程度のデータがあればその真偽を検討する仮説を提示する。仮説だけが独立して存在してそれをむりくり照明するような形になってはいけない。
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  • 10:06  機能5論文の守備範囲を明確にする。認知の構造を議論していてマーケティングの結論になったり、アニメーションの分析をしていて脳科学の結論になったりしてはいけない。KMDのようなマルチディシプリナリーを認めている大学院ではこうした研究が非常に多い。
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  • 10:09  機能5:認知の構造をマーケティングでの知見に結びつけることが悪いのではない。これは何を研究するか、その目的とはなにかという機能1と2の段階では構わない。だからマルチディシプリナリーなのだ。
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  • 10:10  機能5:だがそれをどのように結びつけるかを明確にしなくてはならない。これが機能3だ。そして提示した概念枠組みを使って「認知の構造」が「脳科学の知 見」を生成することができるかを検討しなくてはならない。そのための質問あるいは仮説の提示が機能4である。機能4を証明する領域が機能5だ。
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  • 10:13  機 能5:質問をおこなったり仮説を証明するのはどの領域で行うのか。適切な範囲を提示する。人間の存在の文化的意味を探っているのか、広告効果が消費行動に 結びついている測定を行っているのか、脳の物理的反応を研究しているのかを示す必要がある。ここを明確にすることは学問の誠実さにもつながる。
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  • 10:15  機 能6言葉の定義を提供する。定義という言葉は日本語では非常に厳密なことを意味している。数学の定義のような感じだ。だがdefinitionとはそれ ほど厳密なことではなくて、議論を進める言葉が最初に出てきたときに、議論を進めるために必要な最小限の説明を適宜加えていく。そんな感じだ。
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  • 10:17  機 能6:これが意外にできない。とつぜん新しい言葉をつかって説明を始めて、その言葉を3回か4回つかって議論を展開してしまう。だがこれは普通のことだ。 思索をしていて、どの概念が上手く展開するかはやってみないと分からない。なので、議論が十分展開したなと思ったら、文章をさかのぼる。
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  • 10:18  機能6:そして、その言葉が初出した場所をみつけて、あらためてその言葉に必要最小限の説明文章を提供する。これが定義だ。博士論文で議論を展開するために必要な概念とそれを示す言葉にはすべて明確な定義を与える。プロポーザルの大切な機能である。
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  • 10:22  機 能7:自分で研究テーマを選び、その研究を行う理由を説明し、研究の背後にある概念枠組みを明示する。ここまでは自分で自由に行う。その枠組みが正しいか どうかを証明する質問なり仮説を提示して、それを構成する言葉(概念)の定義を適切に行う。ここまでも自由に行っていいが、ここから先は違う。
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  • 10:27  機 能7:自分の研究、概念枠組み、質問、仮説などを議論するに至った背景を説明する。いわゆる先行研究紹介である。機能1,2,3,4、場合によっては5の 先行事例を紹介する。理論も概念も事例もすべてである。ここをしっかりと行うことがアカデミズム、つまり先行する知識や理論を整理する。
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  • 10:42  機 能7:論理的に分類されていることと、分類枠をこえる博学であることが共存するようなダイナミズムがあることが大切である。百科辞典を始めて作ったフラン スのディドロダランベールの役割を考えると分かりやすい。博学なディドロと几帳面な科学者ダランベール、この2つの役割が必要。
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  • 10:44  機 能7:博士課程の学生はここを丁寧に書く。想像力の欠如している若手の学者はオリジナリティについて意地悪な質問をする。ちょっと長く研究していれば知識 は豊富だ。なので無防備で主題を提示しては駄目だ。自分が選んだ主題のコンテキストまで提示する。また主題を選んだパッションを示す。
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  • 10:53  機 能7:このとき自分のパッションを絶叫しても駄目だ。同じパッションを持っている先行研究を探す。結構見つかる。次に概念枠組みだ。自分が利用しようとし ている概念枠組みの由来と先行研究をしっかりと提示する。ここは楽しいところだし、ここがないと知性の光る論文にならない。
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  • 10:54  機能7概念枠組みの先行研究は非常に大事だ。いま査読論文システムも崩壊がいろんな所で議論されているが、新しい概念枠組みを提案することの価値が理解できていない。論理的にきちんと概念枠組みを提案してあるのにそれを批判するような学会や大学に論文を出す必要はない。
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  • 10:56  機 能7:だが普通にアカデミックのトレーニングをうけてPh.Dを取得した研究者が論理的な概念枠組みを否定することはない。決定論的な枠組みしか理解でき なくて確率過程的な枠組みを理解できない、ということはある。パラダイム的な問題だ。まあそのときは大学なり学会をかえるんだね。
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  • 10:58  機 能7:だがまあ普通はそんなことはない。なので、概念枠組みを明確にする。ちなみに漫才の爆笑問題はここを無視して自分の枠組みで突っ込んでくる。それに 対して枠組みで答えられないと、学者の方が「馬鹿」にみえて沈没する。だが枠組みで返すと黙る。稲見さんの回はなので、稲見さんの勝ち。
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  • 11:00  機能7:自分の枠組みで突っ込んでくるのは爆笑問題だけではなくて、異分野の研究者もそうだ。そんなときに概念枠組みを明らかにするだけではなく、その歴史的背景や概念枠組みの適応の方法なども先行研究を参照にまとめておく。
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  • 11:03  機 能7:仮説と質問の先行研究をまとめるためには、同じ枠組みをつかってどのような仮説が出ているか、どのような質問があるかを探す。例えば、ベイズ的確率 過程の枠組みでロボット制御からイメージ分析から、主観的判断による病気診断までいろいろな仮説や質問がある。この広がりを理解する。
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  • 11:08  機 能8研究を進めて結論にいたるまでのプロセスを明確に手続き的に記述する。ここは多くの学生が勘違いをしている。プロポーザルなので結論は必要ないと 思っているのだ。だが結論に至る道筋をしっかりと考える。ここで自分の持っている構想力を証明しなくてはいけない。やりかたはいろいろだ。
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  • 11:11  機能8:常識的な流れは、1)研究するために必要なデータの説明。2)データを収集する方法の説明。3)あつめたデータの利用の方法の説明。4)実際にデータを収集する計画の提示。5)データを分析するツールの説明。6)データが集まらない場合の代替案。
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  • 11:12  機能8:ここまでを説明すればどのような結論になっていくかの方向性はみえるし、予備調査を行っている場合がほとんどだから結論のようなものも見えてくる。以上がプロポーザルが博士論文の契約書となるために欠かせない8つの機能である。
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  • 11:19  中 身その1:さてここまでは機能の話である。次はプロポーザルの中身についてだ。プロポーサルでは何を研究したいかどう研究するかを先行研究をレビューする ことで、つまり引用の連鎖を生み出すことで行う。ここが中身1の胆だ。作業は二つ。文献を探してレビューする。探す方法が大事。
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  • 11:21  僕 がPh.D論文を書いた25年ほどまえは丁度文献探索のコンピュータオンライン化が始まった頃だ。そのまえはメインフレームで整理をしてマイクロフィルム でアウトプットをつくり、それを拡大鏡で調べた。またお金を払ってロッキードなどが提供していた文献検索サービスを受けた。
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  • 11:28  ステップ1:僕はアメリカの国会図書館で文献検索を図書館に直接出向いて端末の前に座って行った。結果をサーモプリンターに打ち出した。このあたりは拙著『物書きがコンピュータに出会うとき』に詳しい。しかし本当に大切なのは直接の検索ではない。相互引用だ。
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  • 11:30  ステップ1:相互引用とは論文が先行研究を引用するという性質を持つことを利用して、引用された論文から相互関係をみる。つまり一つの論文がどのような分野や研究に引用されているかを確認するのだ。
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  • 11:32  ス テップ1:この相互引用頻度が論文の価値になるという軽率な判断で引用数を論文の評価とするという下品な慣行(交換した名刺の数と同じだから)が科学技術 アカデミズムでは一般的なようだが、ポイントはそこではない。研究の広がりというか相互引用の先にある新しい知的フロンティアが大切なのだ。
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  • 11:35  ス テップ1:従って文献探索は相互引用の連鎖の中まで踏み込まなくてはいけない。僕の頃にはCitation Indexというレファレンスの本があり、それを使って大切に思える論文を引用している他の論文を探していった。いまは文献探索のサービスはインター ネットで公開されている。
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  • 11:36  ステップ1: 大学の図書館は情報提供の会社と契約をしているので、自宅からアクセスをして徹底的な調査が出来る。むかしなら調査のために半年や1年留学をしなくてはい けない作業が自宅でできるのである。博士論文の意味とか、博士号を獲得する価値とかの議論が声高に行われているが、これはすごいよ。
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  • 11:38  ステップ1:なにがすごいって、大学の学生になればこの知識ベースにアクセス出来るところが凄い。自腹だとどのくらいの費用になるのだろうか。ここを活用して充実した先行研究調査を行うことが出来る。プロポーザルではその片鱗を見せればいい。これが文献探索だ。
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  • 11:40  ステップ1: 次は探した文献のレビュー。だがそのまえに文献探索の結果は研究仲間と共有する。つまり仲間が研究発表をしたときに、自分の調べた文献が使えそうならその 場で教える。お互いにそれをおこなうことで研究の精度は飛躍的にたかまる。博士研究勉強会を定期的に行うことが何よりも大切。
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  • 11:43  ステップ1: 文献のレビューは難しい。文献リストの中から何を読めばいいのかを取捨選択する。これを予備的読書 preliminary readingという。論文にはアブストラクトがついている。これを活用する。まあこれは出来るだろう。次に読むべき論文を読む。ここで二つ難しいことが ある。
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  • 11:52  ステップ 1: 機能7で要求されている情報を読み取る。ポイントは1)プロポーザルで提示した質問や仮説が妥当だ2)プロポーザルで示した調査方法つまり結論に至る道が妥当だとする2つの議論を成立させるための先行研究をまとめることにある。
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  • 11:54  ステップ 1: 必要な情報は論文の著者が1)何を知りたいのか2)なぜこの概念枠組みが結論をあたえてくれるとおもったのか3)どのようにその結論に至ったのかである。論文を読み、1)2)3)の情報が過不足提供されている形で論文を書き直す。これをパラフレーズという。
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  • 11:57  ステップ1: 論文を探してレビューする。この作業は単に知識を集めるのではなく、研究に必要な知的な態度を表明することでもある。丹念に文献紹介をするとは知識の連鎖の中で自分のオリジナリティを形成していくことなのだ。
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  • 11:59  ステップ2: パイロット研究の紹介。プロポーザルを書く前にある程度のパイロット研究が行われていなくてはならない。それをrationaleにあわせて簡潔に紹介し ながら博士研究で実際の行おうと計画している作業についても説明する。そして実際に仮説に即して分析を少し行う。ここが大切。
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  • 12:02  ステップ2:プロポーザルの段階で現状の分析を提示しないことがある。そうすると研究が凄く遅れる。ある程度納得がいかなくても不十分でも提示する。パイロット調査と分析、あるいは最初のプロトタイプはプロポーザルの中で記述する。Do it now!というわけだ。
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  • 12:06  ステップ3: ここは自分の論文はどのようなものであるのかを宣言する。論文は科学者だけのものではない。社会科学人文科学においても書く。だが科学主義というか実証 主義が幅を利かしているので、やっかいだ。そこで登場するのが科学哲学の知識だ。まず科学的なるものを明確にする。
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  • 12:09  ステップ3: 基本は推論の種類だ。演繹帰納、そして帰納法の一部のアブダクション。この3つをよく理解する。マルチディシプリナリーの場合はほとんどアブダクション だという話もある。自分の研究の立ち位置を自分で自覚する。ここを明示的に示すことでプロポーザルの中身がそろうのだ。
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  • 12:12  ステップ3:ここに関してはさすがにTweetsするには複雑なので本を紹介する。戸田山和久『科学哲学の冒険』盛山和夫『社会調査法入門』米盛裕二『アブダクション:仮説と発見の論理』。だがこれはサイエンスの方法だ。
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  • 12:16  Step3: 人文科学には別の基準が必要である。僕はHarvard Guide to American History 1974 の1: Research, Writing, and Publicationに多大な影響を受けているが、さすがにこれは古いな。今読んでも面白いけど。
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  • 12:18  ステップ3: 現在指導でつかっているのは前述の3冊を理解してもらった後、ペレルマン『説得の論理学:新しいレトリック』である。ヨーロッパで相互理解するために戦後 登場してくるいわゆるcritical writingの背後にある考え方の紹介だ。知的な推論の形がよく分かる。
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  • 12:19  ステップ3:自分の作ったモノやサービス、あるいはおこなった活動も「科学的根拠」をしめさなくてもcritical writingで記述すればサイエンスではないが立派な博士論文となる。KMDでは博士論文としてそれを認めている。(完)
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